非対称の時代 2016 5 28
オバマ大統領の広島訪問は、
歴史に残る偉業となるでしょう。
少なくとも、すべての日本人にとっては、
深く記憶に残ることになるでしょう。
しかしながら、「核兵器なき世界」は遠いと言わざるを得ません。
むしろ、G7以外の国は、ますます核兵器に依存するようになるでしょう。
それは、なぜか。
戦闘機にしても、戦車にしても、戦艦にしても、
その国の工業力の結晶と言えます。
つまり、基礎的な工業力の積み重ねで、
戦闘機や戦車、あるいは戦艦が完成するのです。
だからこそ、独裁国家や強権国家の政治指導者は、
遅かれ早かれ、いくら数を揃えたところで無意味なことに気づくのです。
そうなると、先進工業国に対抗するには、
弾道ミサイルや核兵器であると気づくにも時間がかからないでしょう。
先進工業国は、戦闘機や戦車をひたすら開発する一方で、
工業力のない国は、弾道ミサイルや核兵器をひたすら開発することになります。
(核兵器の数が増えていく国は、工業力がないことを自覚しているのです)
実に、非対称の時代になったものです。
非対称の時代 2013 1 14
発展途上国の軍事指導者は、こう考えます。
「残念ながら、わが国では、工業力の塊である戦車を作ることはできない。
戦闘機だって同じである。
機体を真似て作ることはできても、高性能なジェットエンジンは作れない。
艦船も同じだ。
外見を真似て作ることはできても、高出力のエンジンは作れない。
さあ、どうするか。
もはや、わが国は先進国に勝てないのか。
ちょっと待て。
安価な対戦車ミサイルで、高価な戦車を撃破できると聞いたことがある。
そうだ。
わが国でも、ミサイルならば開発できる。
対戦車ミサイルどころか対艦ミサイルや対空ミサイル、
いや弾道ミサイルだって作れる。
さすがに米国まで届く長距離ミサイルは技術的に難しいが、
近距離の弾道ミサイルだったら、100発でも200発でも作れる。
こうしたミサイルを大量生産できる」
このように発展途上国の軍事指導者は、現実的に考えますが、
先進国の軍事指導者は、相変わらず、
戦車対戦車、戦闘機対戦闘機、艦船対艦船の戦いを想定しています。
実に、非対称の時代になったものです。
そう言えば、昔も似たようなことがありました。
日本海軍は、戦艦対戦艦の戦いを夢見て、
世界最大の巨大戦艦「大和」を建造しましたが、
時は、空母の時代、いや航空戦力の時代になっていました。
国民からは、ミサイル時代になっても、
日本には、ミサイル防衛システムがあるから大丈夫だという安全神話が出てきそうです。
しかし、ミサイル防衛システムというものは、
技術力の誇示には有効でも、実用性はありません。
理想的な条件が揃えば、ミサイル防衛システムは有効かもしれないというレベルです。
では、対応策はないのか。
これは、何度も書いていますが、
相手国が弾道ミサイルを開発したら、自分の国も弾道ミサイルを開発することです。
それができないならば、次善の策として、
巡航ミサイルを500発程度用意することです。
潜水艦発射型でも駆逐艦発射型でもいいでしょう。
今、日本がしなければならないことは、
最新鋭の戦車を作ることでもなく、最新鋭の戦闘機を買うことでもありません。
弾道ミサイルや巡航ミサイルこそ、日本に必要なものです。